医師の開業
産婦人科を開業するときの注意点、ポイント
地域医療への貢献や理想とする医療の実現など、産婦人科の開業を決意するにはさまざまな理由があると思います。産婦人科医の人手不足が深刻な社会問題となっている日本ですが、だからといって開業すれば簡単に集患が見込めるという訳ではありません。では、他院との差別化を図りながら、産婦人科の安定した経営を維持するためにはどうしたら良いのでしょうか。今回は産婦人科を開業するときの注意点やポイントについて詳しくご紹介していきます。
現状の産婦人科医の需要
現在の日本では、産婦人科の中でも特にお産を扱う「産科医」の医師不足が深刻な問題となっています。その要因としては、少子化が進み需要が少なくなるのではという産科医志望の危惧や、高齢出産の増加によるトラブル、訴訟リスクの高さなどさまざまなことが考えられます。それに加え、産婦人科を希望する若手医師が少なくなっていることで、慢性的な医師不足の状態が解消されず、現役の産婦人科医に大きな負担がかかってしまっている現状があります。
このことからもわかるように、産婦人科医は常に不足しており、その需要というのは大変高い傾向にあります。特に東京などの都心よりも地方の産科医不足が特に目立っており、地方でお産を扱える医療機関が多く求められています。また、乳がんや子宮頚がんなども増加傾向にあるため、こうした婦人科系疾患の治療ができる医療機関のニーズも増加しているのです。
産婦人科にかかる開業資金の目安
では、実際に産婦人科を開業する場合どのくらいの開業資金が必要になるのでしょうか。クリニックの広さや診療内容によっても具体的な金額は異なりますが、電子カルテ、レジスター、コピー複合機、診察用ベッド、イス、内診台、超音波寝台装置、X線撮影装置などの設備だけで約2,000万円、帝王切開をはじめとする手術に対応する場合や、不妊治療を扱う場合などはさらにその分の設備投資が必要です。また、産婦人科の場合は入院スペースを確保する必要があるため、テナントビルでの開業というのは一般的には不向きですから、土地や建物の資金に3,000万円以上プラスで必要になります。
産婦人科を開業するときの注意点やポイント
慢性的な医師不足によって需要の高い産婦人科ですが、開業後に安定した経営を維持するためにはクリニックづくりにも工夫が必要です。では、実際に産婦人科を開業する場合にはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。具体的なポイントを詳しく見ていきましょう。
どこまでの医療を見るのかをきちんと定めておく
ひと口に産婦人科といっても診療内容はクリニックによってもさまざまです。分娩を扱うのか、ハイリスク出産の場合はどうするのか、不妊治療も対応するのかなど、どこまでの医療を見るのかを開業前にきちんと計画しておきましょう。
女性医師、スタッフを多く雇う
産婦人科は診療内容がデリケートですので、女性の医師やスタッフを希望する患者さんも少なくありません。開業の際には、その点を考慮して女性のスタッフや医師を雇うことも大切でしょう。
搬送になった場合の受け入れ可能な病院が近くにあるかどうかを確認する
出産にはリスクがつきものです。万が一の際に、受け入れが可能な病院の有無をきちんと確認した上で場所選びをしていきましょう。
産婦人科はデリケートな診療内容も含む上に、出産などリスクの高い産婦人科ですが、需要があることも事実です。産婦人科を開業する際には、上記の内容に気をつけながら開業の準備を進めていきましょう。
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